生活の中でイベントを考えてみよう

介護でマンネリになりがちな生活の中にイベントを盛り込むことは、患者さんにとっても周りの人にとってもよい気分転換になります。

「闘病の中にもこんな楽しいこともあった」という思い出は、のちのち家族の心の支えにもなります。イベントの企画は、たいそうなことをする必要はありません。

誕生日会、ピクニック、ミニコンサート、トランプや百人一首大会、ホームパーティ、季節の行事にちなんだイベントなど、気分転換になるものなら何でもOKです。凝った企画を練らなくても、工夫次第で楽しいイベントはできるもの。

私も桜の季節には、花見のできない母のために満開の桜をビデオに撮ってきて、桜の枝を一本テーブルに生け、桜餅を並べて、BGMに琴の音色を流したりしました。

病院のような制約の多い無機的な空間にいる患者さんのお部屋には、ちよっとした季節を感じさせるもの(節分の鬼のお面、ひな人形、鯉のぼり、月見団子、クリスマスツリーなど)を飾るだけでも、心休まるものです。

余命いくばくもない患者さんの場合、何かイベントを企画したときには、ビデオや写真を撮っておくことをおすすめします。

「痩せて醜くなった姿を残したくない」という場合はやめたほうがいいですが、ビデオや写真の中に残された患者さんの笑顔は、「療養生活の中でも、こんな笑顔のときがあったのね」と、のちのち周りの人の心の支えになってくれるものです。

そして、あまり面会に来られなかった人たちにも、「」んな楽しいときもあったのよ」とアルバムやビデオを見せることで、安心してもらえます。

面会になかなか来られなかった人というのは、患者さんが亡くなられたあと、あれこれ問題を投げかけてくることがありますが、視覚的な思い出が残っていると、納得してもらいやすいものです。

何よりも形に残しておくことでいちばんうれしいことは、ビデォゃ写真の中では、亡くなった人もいっまでも年をとらずに生き続けていて、いつでも会うことができるということでしょう。