問題解決より大切なのは「話を聞くこと」
とかく私たちは、悩みや問題を抱えている人を見ると、「なんとかすぐその場で、問題を解決してあげなければ」と思いがちです。
ところが多くの場合、相手は解決方法を講じてもらうより以前に、グチを聞いてもらいたいものなのです。
家族に求められるのは、解決方法をあれこれ提案することではなく、気持ちを聞くことです。
ところで、病気の人や悩んでいる人というのは、何度も同じことを話したり聞いたりする傾向があります。
私もこんな経験がありました¨患者さんから、
「せめて、痛みが止まって、早く治ればねえ」
と言われて、
「じゃあ、痛み止めを飲んでみませんか?」
と返すと、
「でも、痛み止めは体に悪いでしょ―ああ、でも痛いわ」
と答えられる。そこで、
「じゃ、マッサージでもしましょうか?」
と返しても、 `
「そんなもの、 一時的な効果じゃないですか」
とことごとくこちらの提案を断ってくる。そのくせ、「痛くていやになっちゃうわねえ。なんとかならないのかしら」と言われるのです。
こんなとき私たちは、同じことを言われてうんざりする気持ちと、問題を解決してあげられない自分へのもどかしさで、「なんとかならないのかと尋ねるから、いろいろ提案しているのに。人の提案をすべて断っておいて、グチばかり言う」とついイライラしてしまいます。
実は、このようなケースはよくぁります。患者さんは、「なんとかしてほしい」と言いながらも、いちばんしてほしいのは「痛くてつらくて、いやだ」という気持ちを聞いてもらうことなのです。
こういう場合こそ、問題の解決のみに目を奪われないで、相手の気持ちを十分聞いてあげる姿勢を大切にしたいものです。