ケンカがお互いのストレス解消になることも
そうはいっても、「相手の話をよく聞く」「気持ちに添って会話を進める」ということはとてもとても大変なことです。かくいう私も、「ああ、あのときもっと患者さんの話を聞くんだったなあ」と反省することもしばしば。
ですがら、皆さんも「落度のない会話をしよう」とか、「失敗しないように話そう」なんて思う必要はありません。
介護するあなたも人間ですから、イライラすることがあるでしょう。特に、親しい問柄の人に対して患者さんはわがままを言ったり、八つ当たりした
りします。家族や親友という立場の人ほど、イライラさせられることも多いはずです。ときには、思わずひどい言葉を投げつけてしまつたり、答えに詰まったりすることもあって当然です。
もし、そんなことがあっても必要以上に自分を責める必要はありません。病人の心を傷つけたなと思ったら、心をこめて謝ればいいのです。
看病する中では、いつもいつもニコニコいい関係を保っていられるときばかりではないはずです。
ケンカだって、あって当然。でも、あなたが患者さんを大切に思っている気持ちさえあれば、途中にいろいろな紆余曲折があっても、信頼や愛情がとぎれてしまうことはありません。
それに適度なケンカはときとして、お互いのやりきれない気持ちが発散できてストレス解消にもなります。後腐れのないケンカは大いに結構。ケンカは親しい者同士ならではのコミュニケーション手段です。
失敗を恐れて縮こまったりしないで、できるだけたくさん会話を交わしていってください。つまずいたり、転んだりしながら、療養生活の中で進むべき道はちゃんと見えてくるはずです。
▼病人から何か聞かれたら、答える前に、なぜその質問をしてきたのかを考える。
▼答えにくい質問には110おうむ返しにする、②聞き返す、③「答えられない」と言う。
▼自分だけで解決のつかない問題は、周囲の人に力を借りる。
▼失敗してもいい。失敗を恐れず、まずは話してみる。
▼ケンカも大切なコミュニケーションのひとつ。