病人が望む対はこんなところからわかる「そうはいっても、病人は大変な悩みを抱えているわけだから、気をつかわないわけにはいかない。


相手の望むように接するにはどうすればいいのだろう」と思う方がいるかもしれません。「がんにかかる」という状況は、想像のつきにくいものだから戸惑いますよね。

そんなときは、失恋したり、仕事で大失敗をしたときのことを考えてみましょう。

失恋や仕事での大失敗もがんにかかることも、人生の一大事、とてもつらくて頭を悩ませる出来事という条件で考えたら、同じことです。

そして実は、失恋したときや仕事で大失敗したときの落ち込み方とそこからの脱出パターンと、がんなどの大病にかかったときの行動パターンは、とても似ていることが多いのです。

このことを私は、多くの患者さんと接した経験により学びました。そこで、想像力と記憶力をめいっぱい働かせて考えてみましょう。

患者さんが失恋や大失敗したとき、周りの人がどんなふうに接してくれたのがうれしかったようですか。

どんな対応をいやがっていましたか。どんなふうに振る舞って、どんなふうに立ち直ったのでしょう。

「毎晩飲み歩いてうさばらしをしていた」

「友人に電話をかけまくっていた」

「ずっと、家に閉じこもって誰とも会わなかった」

「がんばれ」と励まされて元気が出た人、 一緒に泣いてくれた友人に慰められた人、しばらくそっとしてもらうのがいちばんよかった人……。

人によって落ち込んでいるときの過ごし方がさまざまであるように、周囲の人に望む対応方法もさまざまです。

患者さんの普段の行動パターンを考えれば、自然と相手が好みそうな対応方法も見えてくるのではないでしょうか。